医療従事者は患者様に接するにあたり傾聴を大切にしている。
リハビリテーションも「受け身ではなく、意思決定支援に基づく自己実現であるべき」である。
一方で患者様の病前生活や病態は千差万別であり、俗にいう「寄り添う」ことの難しさには日々直面する。
療法士自身にも患者の想いを実現できているのかは常に振り返りを要す。

そこで患者様の理解を深めるために当院の療法士は自己覚知のトレーニングに加えて、
CBA(Cognitive-related Behavioral Assessment:認知関連行動アセスメント)
を用いた評価と
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)
に基づいたリハビリテーションを展開している。

CBAは患者様の行動を意識・感情・注意・記憶・判断・病識の項目で評価し、認知機能の重症度を簡便に用いることが出来る評価である。
半側空間無視、注意障害、失行、失認などに代表される複雑な病態である高次脳機能障害に対してCBAを用いて多職種で理解を深めることにより高次脳機能障害があってもADL向上を諦めないリハビリテーションを可能とする。
これは認知症も同様でありどのようにしてその行為・行動が成されているかを考えることで過度な抑制を防いだり、患者様自ら行動変容を起こす力に繋げていくことを可能にする。

同様にICFを用いたリハビリテーションの展開とは患者様を単に「障がい」を―(マイナス)面のみで捉えるのではなく、残存機能、性格などの人となり、家族をはじめとした協力者の存在や家屋環境等、+(プラス)面も合わせて特徴として捉え患者様の自己実現に向けて多職種が共通目標を掲げて支援をしていくことにある。

CBA、ICFは患者様の意思決定支援、自己実現を達成させるための手段である。
退院の先に安心、安全な在宅生活が継続できるよう回復期リハビリテーションを行っていく。