私は毎週、訪問診療も行っています。
その中で、脳卒中による麻痺や高次脳機能障害(思考や記憶などの機能低下)の後遺症がある患者様を、ご自宅で介護されているご家族に数多くお会いしてきました。
「しょうがない」と諦めていませんか?
在宅介護の現場では、以下のようなケースをよく目にします。
- 麻痺があっても装具を使って歩けていた方が、筋肉のつっぱり(痙縮)が強くなり、次第に歩けなくなってしまう。
- ベッド上で過ごす時間が長くなり、手足の関節が固まってしまう。
具体的には、
「指が握りこんで洗えない」
「肘や肩が曲がって、着替えさせるのが大変」
「股関節が開かず、オムツ交換やズボンの着脱に苦労する」
「足がねじれて姿勢が崩れ、床ずれができてしまう」
といったお悩みです。
多くの場合、ご家族は
「脳卒中の後遺症だから、時間が経てば悪くなるのは仕方がない」
「寝たきりだから関節が固まるのもしょうがない」
と諦めてしまっているように感じます。
ボツリヌス治療で「介護のしやすさ」が変わる
しかし、こうした「困った状態」の多くは、ボツリヌス治療によって改善できる可能性があります。
実際に治療を受けたご家族からは、
「また歩けるようになった」
「指が開いて洗いやすくなった」
「着替えやオムツ交換が驚くほど楽になった」
といった喜びの声を多数いただいています。
中には、「足のことで相談に来たけれど、実は手や首の曲がりも諦めていたんです。それも治療できませんか?」と、追加でご相談をいただくことも少なくありません。
「もっと早く相談すればよかった」と言っていただけることは、医師として非常に嬉しい瞬間です。
目的は「生活の質」を高めること
ボツリヌス治療の目的は、単に筋肉を柔らかくすることだけではありません。
「患者様ご自身が動きやすくなること」、そして「ご家族の介護負担が減ること」。
つまり、患者様とご家族双方の「生活の質(QOL)」を高めることが最大の目的です。
「どんどん動けなくなるのは仕方がない」「介護が大変になるのは当たり前」と諦めないでください。
「筋肉が固くなって介護が大変」と感じたら、まずは解決策の一つとして、痙縮治療を専門とする医師に相談してみてはいかがでしょうか。