ボツリヌス治療 連載第6回 注射だけで終わりじゃない!「ボトックス+リハビリ」の相乗効果

脳卒中後の手足のつっぱりや、関節が勝手に曲がってしまう「痙縮(けいしゅく)」に対して、適切な筋肉に適切な量のボツリヌス製剤を注射することは劇的な効果をもたらします。

しかし、ただ注射をするだけではありません。
その後にリハビリテーションを組み合わせることで、相乗効果が生まれ、さらなる改善が見込めることをご存じでしょうか。

注射直後のストレッチで効果を高める。

まず、当院ではボツリヌス治療を行った直後に、医師がその筋肉に対してしっかりとストレッチを行います。
これにより、注入した薬剤が筋肉内へ広く浸透し、注射の効果をより高めることができます。

薬が効いている期間こそ、リハビリのチャンス。

ボツリヌス治療は、数日で効果が出始め、1か月でピークを迎え、約3か月間効果が持続すると言われています。
薬が効いている間は、痙縮で固まっていた筋肉が緩んでいます。
この「筋肉が緩んでいる期間」にリハビリでしっかりとストレッチを行うことが非常に重要です。

痙縮のせいで制限されていた関節の可動域(動く範囲)を、正常な状態に近づける絶好の機会だからです。
具体的には、以下のような改善を目指します。

  • 伸びなかった腕や膝が伸びるようになる
  • 開かなかった肩や指が開くようになる
  • 股関節のねじれが改善される
  • 足首が曲がるようになる

中等度以上の症状には、継続的なリハビリを。

症状が軽く、注射だけで歩きやすくなったという患者様であれば、必ずしも追加のリハビリは必要ないかもしれません。

しかし、痙縮の程度が「中等度以上」で関節の動く範囲が狭くなっている方や、「重度」でほとんど関節が動かせない方の場合は、話が別です。
ボツリヌス治療後の2~3週間、集中的にリハビリを行うことで、治療の効果を最大限に引き出せる可能性があります。
そのため、中等度以上の患者様には、外来リハビリテーションや訪問リハビリテーションの併用をお勧めしています。

特に、通院が難しい方やご自宅での生活動作を改善したい方にとって、訪問リハビリテーションはボトックス治療との相性が良い選択肢の一つです。
外来でのリハビリに通うことが負担になる場合でも、ご自宅で継続的なリハビリを受けることで、治療効果を生活の中に定着させやすくなります。
治療後のリハビリ計画については、外来だけでなく訪問リハビリの利用が可能かどうかも含め、医療機関で相談してみるとよいでしょう。

渡辺 淳志
筆者プロフィール
【リハビリテーション部長】

渡辺 淳志 WATANABE Atsushi

出身大学: 琉球大学

  • 日本リハビリテーション医学会 リハビリテーション指導医
  • 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
  • 日本脳卒中学会 脳卒中指導医
  • 日本認知症学会 認知症指導医
  • 日本頭痛学会 頭痛専門医
  • 日本ボツリヌス治療学会 認定施注医
  • 医学博士号(甲)
  • 義肢装具等適合判定医
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