ボツリヌス治療 連載第5回 なぜ「認定施注医」なのか?確実な効果を出すための技術

インターネットで「脳卒中 痙縮 ボトックス」などと検索すると、「ボトックス外来」を掲げている病院がいくつも見つかるかと思います。
しかし、看板が同じ「ボトックス外来」であっても、治療の質には差があることをご存じでしょうか。

実は、医師がボツリヌス治療を行うために最低限必要な条件は、「製薬会社が指定するインターネット講習(eラーニング)を受講していること」だけです。
制度上は、専門医の指導を受けたことがなく、実際の患者さんを治療した経験が全くない医師であっても、講習さえ受けていれば「ボトックス外来」を掲げて治療を行うことが可能なのです。

そのため、残念ながら治療の精度にはばらつきがあり、十分な効果が得られていないケースも散見されます。
私がこれまでに見てきた、効果が不十分だった治療例は、大きく以下の3つのパターンに分類されます。

  1. 注射する場所のズレ
    症状の原因となっている筋肉に、正確に注射できていない。
  2. 薬剤量の調整不足
    患者さんの筋肉量や症状に対して、薬の量が適切ではない。
  3. 深部筋肉への未処置
    皮膚から浅い場所にある筋肉は注射しやすいですが、深い場所にある筋肉への注射は技術を要します。
    そのため、難しい深部の筋肉が治療されず、表面の筋肉しか治療されていないため、効果が十分に発揮されない。

私は、痙縮治療の専門医の指導のもとで基礎を学び、10年以上にわたり200名以上の患者様を治療してきました。
その中で、応用的な治療や新しい技術の習得にも努め、「日本ボツリヌス治療学会認定施注医」の認定を受けています。
これは学会が「ボツリヌス治療の専門家である」と認めた医師に与える資格で、認定されているのは全国で約100名、東京都内では12名ほど(※執筆時点)しかいない専門性の高い資格です。

竹口病院の理念は「心ある、繋げる医療」です。
単に筋肉を柔らかくするだけが私たちの目的ではありません。
ボツリヌス治療を通じて痙縮を改善し、患者様が生活しやすくなること、ご家族の介護負担が減ることなど、身体だけでなく「心」も元気にしたいという強い思いで外来を行っています。

また、身体が動くようになることで、生活範囲が広がったり、利用できる介護サービスが増えたりするなど、患者様を広く「社会」へと繋げていくことも目標としています。
当院の「心ある、繋げるボトックス外来」で、患者様やご家族が少しでも幸せを感じていただけるよう、私自身、これからも技術の研鑽に努め、より良い医療を提供してまいります。

渡辺 淳志
筆者プロフィール
【リハビリテーション部長】

渡辺 淳志 WATANABE Atsushi

出身大学: 琉球大学

  • 日本リハビリテーション医学会 リハビリテーション指導医
  • 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
  • 日本脳卒中学会 脳卒中指導医
  • 日本認知症学会 認知症指導医
  • 日本頭痛学会 頭痛専門医
  • 日本ボツリヌス治療学会 認定施注医
  • 医学博士号(甲)
  • 義肢装具等適合判定医
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