脳卒中だけじゃない?「頭部外傷」や「脊髄損傷」による痙縮
筋肉が勝手に固く収縮してしまう「痙縮(けいしゅく)」は、脳卒中だけで起こる症状ではありません。
痙縮のメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、司令塔である「脳」や「脊髄」などの中枢神経がダメージを受けることで、筋肉への命令がうまく伝わらなくなり、異常な収縮が起きると考えられています。
目標は具体的に!医師と共有するボツリヌス治療の「治療のゴール」の決め方
ボツリヌス治療は、筋肉のつっぱり(痙縮)を緩める優れた治療ですが、全ての痙縮が治療の対象というわけではありません。
例えば、脳卒中後、足に痙縮が残っていても、そのつっぱりを「支え」にして関節を固定し、安定して歩いている方もいらっしゃいます。
このような方に治療を行うと、関節の安定性が失われ、治療前よりも歩きにくくなってしまうことがあります。
セカンドオピニオンとしてのボトックス外来
脳卒中後の退院後、総合病院やかかりつけのクリニックに通院されている方は多いと思います。
リハビリテーションについても、通所リハビリ(デイケア)や訪問リハビリなど、さまざまな場所で受けておられることでしょう。
最新の知見と竹口病院の取り組み(学会報告など)
医療は日々、目覚ましい勢いで進歩しています。
それは、リハビリテーションの分野、そして筋肉のつっぱりを和らげる「ボツリヌス治療」においても同様です。
ボツリヌス治療を受ける前の「よくある3つの疑問」にお答えします
ボツリヌス治療を検討されている患者さんやご家族から、よくいただく「本音」の質問があります。
① ボツリヌス治療をして後悔しませんか?
② 治療を受けない(受けられない)ほうがいい人はいますか?
③ 先生のご家族が患者だったら治療を勧めますか?
今回は、これらの疑問について分かりやすくお答えします。
痙縮を専門とするリハビリ専門医がボツリヌス治療を勧める理由
脳卒中や頭部外傷、脳性麻痺、脊髄損傷などによって脳や脊髄がダメージを受けると、手足や体幹の筋肉が異常にこわばってしまうことがあります。
この状態を痙縮(けいしゅく)と呼びます。
痙縮の治療法には、主に
「飲み薬(内服治療)」
「ボツリヌス治療(注射薬)」
「手術療法(アキレス腱延長術やITB療法など)」
があります。
では、なぜ痙縮を専門とするリハビリ医師が、なかでもボツリヌス治療をおすすめするのでしょうか。
その3つの理由をわかりやすく解説します。
ボツリヌス治療の経験が少ない先生方が知って頂きたいボツリヌス治療の大事なポイント
私は脳神経外科医として10年間勤務した後、リハビリテーション科に転科して一から勉強を重ね、現在はリハビリテーション指導医として活動しています(脳外科医歴10年、リハビリ医歴12年)。
実は、脳外科医時代にもボツリヌス治療(ボトックス治療など)を行っていたのですが、当時は十分な専門指導を受ける機会がなく、インターネットの講義だけで得た知識を頼りに手探りで治療を行っていました。
脳卒中後の痙縮で特に治療すべき時期は「病院を退院した後」「外来受診中、訪問診療中」
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の発症から3〜6か月が経過した頃に、手足の筋肉が硬くなる「痙縮(けいしゅく)」という症状が現れたり、悪化したりすることが多くあります。
これはちょうど、脳外科や神経内科での治療を終えて自宅に退院した時期、あるいはリハビリ病院を退院して外来通院や訪問診療を利用している時期に重なります。
時間が経つにつれて、以下のような手足のトラブルが現れやすくなります。
手術は成功。しかし、その先の痙縮は?救命のその先へ
脳卒中は、突然命を脅かす恐ろしい病気です。
例えばくも膜下出血は、社会復帰できるのは3分の1以下、残りの3分の2は亡くなるか、あるいは寝たきりになってしまうと言われています。
治療には頭を開けて処置する「開頭術」や、カテーテルを用いる「血管内手術」がありますが、どちらも決して簡単な手術ではありません。
脳出血や脳梗塞も含め、まずは命を救えた(救命できた)だけでも、医療としては大成功したと言えます。